自立支援医療は「訪問診療」にも使える!|在宅で精神科治療を受ける方のための制度解説

精神科の治療は、病院に通うだけでなく、医師が自宅に伺う「訪問診療」の形で行うことも増えています。

特に、外出が難しい方・認知症や統合失調症などで安定した環境が必要な方にとっては、訪問による精神科医療は大きな支えになります。

しかし、そこでよくある質問が

「自立支援医療って、訪問診療でも使えるの?」

「上限額の対象になるのは通院だけじゃないの?」

という点です。

結論から言うと、自立支援医療(精神通院医療)は訪問診療にも適用されます。

ここでは、その仕組みや対象範囲、申請のコツを、当院の視点からわかりやすく解説します。

目次

自立支援医療とは?|精神科治療を続けやすくする公的制度

自立支援医療制度(精神通院医療)は、精神疾患をもつ方が継続的に通院治療を受けられるようにするための国の公費負担制度です。

✅制度のポイント
  • 医療費の自己負担が 3割 → 1割 に軽減される
  • 毎月の自己負担には「上限額」が設定される(所得に応じて2,500〜20,000円程度)
  • 医療費には「診察・薬・検査・訪問看護・訪問診療」などが含まれる

つまり、「通院」に限らず、訪問で行う精神科治療も対象になるのです。

訪問診療でも自立支援医療が使える理由

🏠 「精神通院医療」は“外来扱い”のため

自立支援医療には3種類あります

  • 精神通院医療(外来・訪問)
  • 更生医療(身体障害の手術など)
  • 育成医療(18歳未満向け)

このうち「精神通院医療」は、外来や在宅で行う治療すべてが対象です。

つまり、医師が自宅を訪問して診察を行う「訪問診療」も“通院の一形態”として認められています。

訪問診療で対象になる具体的な医療内容

以下のような在宅精神科サービスが、自立支援医療の対象に含まれます。

✅ 訪問診療(医師・看護師の訪問)

  • 精神科医がご自宅で診察を行う
  • お薬の調整、睡眠・気分・幻覚妄想などの症状管理
  • 家族との相談支援

👉 自立支援医療を利用すれば、この診察費用の自己負担が1割になります。

✅ 訪問看護・精神科訪問看護

  • 看護師や精神科訪問看護師が訪問し、服薬・生活支援・再発予防などを行う
  • 精神科の訪問看護も自立支援医療の対象

✅ 処方薬・血液検査など

  • 医師の指示で処方されたお薬代(薬局での支払い)
  • 定期的な血液検査や採血も対象

👉 これらもすべて上限額の範囲内に含まれます。

訪問診療での「自己負担上限額」の考え方

自立支援医療の上限額は、通院でも訪問でも同じく「世帯の所得」で決まります。

毎月、クリニック診療・薬局・訪問看護などをすべて合算して上限額を超えた分は公費負担になります。

例えば【上限額が5,000円の方の場合】

訪問診療:3,000円

薬局:1,500円

訪問看護:2,000円

→ 合計6,500円でも、実際の支払いは5,000円でストップ。

「訪問診療で自立支援を使う」ための申請手順

申請の基本の流れは「通院」とほぼ同じですが、訪問診療を受ける医療機関を登録する点が大切です。

 ◇手順の流れ

STEP
主治医が「自立支援医療診断書(精神通院用)」を作成
STEP
申請書類を市区町村の福祉課に提出

必要書類

  • 自立支援医療費支給認定申請書
  • 自立支援医療用診断書
  • 健康保険証の写し
  • マイナンバーや印鑑など
STEP
申請時に病院名・薬局名・訪問看護名を登録

登録された医療機関の費用が対象になります。

(変更・追加する場合は「変更届」を提出)

STEP
「自立支援医療受給者証」が交付される

訪問診療での利用上の注意点

① 登録された医療機関のみ対象

医療機関名を変更したり、薬局を変えたりする場合は、事前に登録変更の届け出が必要です。
登録外の医療機関での診療は1割の適用になりません!

② 更新は1年ごとに必要

自立支援医療は1年ごとの更新制です。

更新手続きを忘れると、その期間は全額自己負担になるため要注意。

なお診断書は2年に1回必要になる場合がほとんどです。

③ 訪問回数による上限超過も安心

訪問診療は月1回〜数回行う場合もありますが、
上限額を超えた分は公費負担、つまり上限額以上に関しては自己負担がなくなるため、治療頻度が多くても安心して継続できます。

よくある質問Q&A

訪問診療を利用しても、上限額は変わりますか?

いいえ。通院と同じ計算方法です。訪問診療・薬局・訪問看護すべての合計が上限額を超えたら、それ以上は支払不要です。

通院と訪問を併用しても問題ない?

問題ありません。同一月内の合計金額で上限管理されます。

申請先はどこ?

お住まいの市区町村の福祉課または障害福祉担当窓口に提出します。
訪問看護等が申請をサポートしてくれることもあります。

更新を忘れた場合は?

更新期間が過ぎると、自立支援医療が使えなくなります。再度医師の自立支援医療診断書(精神通院用)が必要になります。そのため、早めの手続きが大切です。

まとめ|訪問診療でも「自立支援医療」はしっかり使える

ポイント内容
対象精神科の病院・クリニック、訪問看護、薬局など
負担割合3割→1割
上限額所得に応じて2,500~20,000円程度
登録医療機関受給者証に登録された医療機関のみ
更新1年ごと(2年に1回診断書が必要)

つまり、自立支援医療は「通院だけの制度」ではなく、在宅での訪問診療にも適用される制度です。
治療を続けたいけれど外出が難しい方こそ、この制度を活用するメリットが大きいのです。

✅ 参考リンク(公式情報)

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